以前の記事では、ブランディング=ファンを増やす仕組みをつくること、とお伝えしました。では、その仕組みづくりとは具体的に何をするのでしょうか?一言で言うと「コンセプトに沿って、タッチポイント(顧客接点)を整えていくこと」です。その前段でいくつか重要なステップを踏むのですが、そこはまた別記事で解説するとして、今回はタッチポイントにスポットを当てていきます。
タッチポイントを図で分かりやすく
タッチポイントは、図で見るととても分かりやすいので、早速下の図をご覧ください。前回の記事「好調リフォーム会社・4つのマーケティング戦略を解説」で挙げたリフォーム会社さんを(またまた勝手に)例にさせていただき、解説していきたいと思います。
タッチポイント(顧客接点)とは、その名の通り、顧客がその商品・サービスと関わる(=タッチする)接点(=ポイント)のこと。前回記事のリフォーム会社の例に沿って図と照らし合わせると下記の通りになります。
タッチポイントを一つずつ解説
- カフェ:ショールームにカフェが併設されている。ぶらりと気軽に立ち寄れる。
- 予約:特別な席を利用したい時は予約する。
- クーポン:カフェの割引クーポン。
- 営業:カフェやショールームのスタッフ。
- Webマガジン:住まいのことから暮らし全般のことをトピックにしているWebマガジン
- メルマガ:カフェの割引クーポンに登録するとメルマガが届く。(これは予想)
- パンフレット:紙媒体のツール(こちらも予想)
- SNS:カフェのアカウント・ブランドのアカウント
これは概略図なので、本当はもっと多くのタッチポイントがあると思いますが、それぞれのタッチポイントで、顧客(もしくは潜在顧客)が、何らかの関わりを持っているシーンがご想像いただけたでしょうか?ぜひ、自社の商品・サービスと置き換えて、どんなタッチポイントがあるのか考えていただけたらと思います。
タッチポイントを繋ぐコンセプト
各タッチポイントで施策を講じる時に、一番大事なのが、「どのタッチポイントと接しても、(こちらが狙いとする)同じ感情を持ってもらうこと」です。
例えば、『こだわりのある暮らしを実現するリノベーション』であれば、「カフェ」で提供するコーヒーは「●●をブレンドした●●」のようなストーリーがある方が”こだわり”を感じられて良いですし、「営業」のスタッフは、元気よくお得感をアピールするよりは、落ち着いてヒアリングするスタイルの方がマッチしています。
先ほど「どのタッチポイントと接しても、(こちらが狙いとする)同じ感情を持ってもらうこと」と言いましたが、それを言葉で明確にしたのが「コンセプト」です。「コンセプト」は、その文章を読んだだけで、どういう感情を持ってほしいものか、誰にでも分かるものでなくてはなりません。
「コンセプト」を説明する時によく例に出てくるのが、スターバックスです。スターバックスのコンセプトは「サードプレイス(Third place)」。これは、家庭や職場以外の第3の空間として、リラックスできる場所を提供することを意味します。文章でもなく、短い言葉ですが、スターバックスが顧客にどういう感情を持ってほしいのかが、よく伝わりますよね。
スターバックスのすべてのタッチポイントは、このコンセプトに沿って考えられています。例えば、店員さんは「いらっしゃいませ」ではなく、親しみやすさを感じるよう「こんにちは」と言います。各店舗異なる内装は、ウッドを用いて温かみを演出している点は共通していて、照明も明るすぎず暗すぎない、リラックスできるようなライティングになっています。
機能するコンセプトをつくる
コンセプトとよく混同されるのがキャッチコピーです。キャッチコピーは、消費者の興味関心を引く謳い文句なので、役割が異なります。コンセプトは目を引くことを重視した言葉ではなく、誰にでも伝わることが大きな役割です。
私の失敗談ですが、ついカッコいい言葉をコンセプトにしたいと考えてしまったことがあります。案の定、響きはカッコいいけど、何だか伝わらず・・・。コンセプトの策定者が、関係者全員に意図を説明できるわけではないので、コンセプトが独り歩きしても理解してもらえることがとても大事です。
コンセプトの作り方は、それだけで一冊の本が出来てしまうくらい、奥が深いもの。詳細はまたの機会に触れるとして、今回は、ブランディングの具体的な作業とは、タッチポイントを整えること、そして、それらを貫くのがコンセプトである、ということが伝わればと思います。
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